社交不安障害とは

学校や職場などで同級生や同僚の前でプレゼンをしたり発言をする、披露宴でスピーチをするなど人前で話す場面が苦手という方は少なくありません。
ただ、このような他人から注目を浴びるような社会的場面において、あまりの緊張から、赤面、動悸、発汗、声の震え、吐き気などの症状が現れ、このような症状を人に見られたくない、絶対に失敗をしたくないという強い思いから、やがて恐怖感が強くなり、ついにはこのような場面を避けるようになり、日常生活に支障をきたしてしまう状態を社交不安障害と言います。

わが国における本疾患の生涯有病率は1.8%と言われており、決して少ない病気ではありません。
小児期後半から青年期が好発年齢であるため、自身の性格ととらえられやすく、未治療のまま経過するケースが多いです。
患者さんの中にも人前に立つことに恐怖を覚えて、回避行動をとっている自分に薄々おかしいと感じている方はいます。
ただ、避けたい気持ちを抑制することはとても難しく、次第に外出をして人と会うことも困難となって、日常に影響が及ぶようになるのです。
そのため、半数以上の患者さんにうつ病や他の不安障害、物質関連障害などの併発がみとめられます。

社会不安障害でよくみられる症状

  • 異常に緊張する
  • 手足、全身、声の震えが出る
  • 顔が赤くほてる
  • 脈が速くなり、息苦しくなる
  • いつもよりたくさんの汗をかく
  • 繰り返し吐き気がする
  • 口がカラカラに渇く
  • トイレが近くなる、または尿が出なくなる
  • めまいがする

など

治療について

薬物療法と精神療法があります。

薬物療法

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)が第一選択薬となります。
SSRIの効果が十分に発現するまで少し時間がかかるため、治療の初期には少量の抗不安薬を併用していくこともあります。

精神療法(認知行動療法)

薬物療法と併行して、認知行動療法も行っていきます。
認知行動療法では、患者さんご自身が恐怖と感じている場面について、実は自らの思い込みであったということを認識し、そこから段階的に人前に立てるようにしていくという治療方法になります。