カウンセリングの目的
多くの人は、悩みや問題を抱えていると自分の感情が分からなくなったり、どう行動すればいいのか決断できなくなることがあります。
カウンセリングでは自分の言葉で悩んでいることを話し専門家に聞いてもらうなかで、問題点を整理したり、一緒に解決への糸口を考えたりしていきます。また、必要に応じて具体的な対応策やアドバイスをお伝えすることもあります。
当院では主治医と患者さんが相談をしたうえで、カウンセラー(臨床心理士、公認心理師)によるカウンセリング治療を行っています。
相談内容の例
- 不安、落ち込む、イライラなどの気分や身体の不調
- 日常生活や将来への不安
- 学校や職場で対人関係がうまくいかない
- 学校で遅刻や忘れ物が多い、宿題や課題が期限までに提出できない
- 職場で予定や書類の管理でミスが多い、マルチタスクになると期限に間に合わない
- 子育てがうまくいかない
- 子供の不登校や発達への不安、進路について
- 夫婦関係や親子関係の悩み
カウンセリングのメリット
- 困っていること、悩んでいることについて時間をかけてゆっくり話すことができる
- いま抱えている問題を心理的な側面から整理することができる
- 自分の考え方のクセやいままで気づいていなかった受け止め方や行動のパターンを知ることができる
- 考え方や受け止め方を現在の置かれている状況に適したものへ切り替えることができる
- 人とのコミュニケーションのとり方、時間やモノの管理の仕方などへの具体的な対応策についても相談することができる
カウンセリングの流れ
- 主治医がカウンセリングによる治療が必要と判断します。
- カウンセラーとの初回面接の予約をしていただきます。
- 初回面接は、問題となる症状が起こった流れやこれまでの家族関係や対人関係など、どのような人生を歩んできたかカウンセラーが聞き取りを行い、問題点を理解また整理していく時間になります。患者さんにとっても、これまでの人生を振り返り、客観的に見つめる重要な時間になります。
- カウンセリングを開始する。今後のカウンセリングのテーマやカウンセリングの方法をお互いに共有し、合意したうえでカウンセリングを進めていきます。
カウンセリングの方法
カウンセリングでは基本的に患者さんとカウンセラーの1対1で患者さんのお困りごとについてお話をうかがっていきながら、一緒に解決方法を探していきます。さらに、必要であると判断された場合には以下のような様々な心理療法も取り入れながら進めていきます。
社会生活技能訓練(SST)
当院では、特に発達障害の特性を有する患者さんへのSSTに積極的に取り組んでおります。SSTは厳密にはカウンセリングではなく、精神科リハビリテーションの枠組みに入る治療法となります。日常生活に必要な対人コミュニケーションスキル、対処スキル、自己管理スキルなどの向上を目標とした支援方法です。特に発達特性をお持ちで学校や職場、日常生活で困っていることについて、具体的な解決策を一緒に考えていきます。
カウンセラーと個別に取り組むことで、より患者さんの困りごとやシチュエーションを詳しくお聞きすることができます。また、実際やってみてどうだったか、うまくいったところとうまくいかなかったところをフィードバックしながら、よりご自身に合ったオーダーメイドな対処法を一緒に見つけていくことを目指します。
ADHDへのスキルアップトレーニング
- 対象
- ADHD特性があるために、注意力や計画力の問題で困っている方
- 内容
- ものごとを計画立てて進めていくこと、集中して作業し続けることが苦手なために生じる問題やストレスを減らすことを目的に、
問題に対応するためのスキルや工夫を身につけていきます。
まず患者さんがお仕事や学業、生活のなかで抱えている困りごとを共有します。
このトレーニングではスキルを身につけるまでのプロセスを大事にします。
自分に必要なスキルを日々の生活のなかで試しながら、自分にあった方法を見つけていきます。
ASDへのスキルアップトレーニング
- 対象
- ASD特性があるために、コミュニケーションや対人関係が苦手な方
- 内容
- 相手の感情や状況を読むことや、コミュニケーションが苦手なために生じる対人関係の
問題やストレスを減らすことを目的に、よりよい対人関係を築くスキルや工夫を身につけていきます。
まず患者さんが仕事や生活のなかで抱えている困りごとを共有します。
このトレーニングではスキルを身につけるまでのプロセスを大事にします。
自分に必要なスキルを日々の生活のなかで試しながら、自分にあった方法を見つけていきます。
認知行動療法(CBT)
CBTは、人の気持ちが、認知(物事のとらえ方や考え方)や行動によって影響を受けるという理解に基づき、認知や行動のあり方を患者さんとともに検討・修正・日常生活での実践・振り返りといった過程を通じて、問題解決、機能的な行動の獲得、気分の改善を目指す精神療法です。実際のセッションでは、ご自身の考え方のクセを理解し、それに替わる他の考え方を身につけていくトレーニングをカウンセラーと互いに意見を出し合いながら進めていきます。最新の研究結果から、うつ病や不安障害におけるCBTの治療効果が実証されています。